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早春の庭を彩る宝石、クロッカスの魅力と楽しみ方

春の訪れを告げる「指標植物」として
クロッカスは、園芸界では「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」の一つとして親しまれています。
地温の上昇に敏感に反応し、他の花々に先駆けて開花するその姿は、長い冬を耐えた園芸家にとって何よりの励ましとなります。 朝の光を受けて花びらを開き、夕暮れとともに閉じる。その規則正しい開閉運動(傾性運動)を観察するのは、早春の庭歩きの醍醐味と言えるでしょう。多彩な色彩で描く「庭のデザイン」
クロッカスには、大きく分けて「秋咲き」と「春咲き」がありますが、今の時期に楽しむのは春咲き種です。
大輪のダッチ・クロッカス
存在感があり、花壇の縁取りや芝生の中に点在させて植える(ナチュラル・ドリフト)のに適しています。
小輪の原種系
繊細な趣があり、ロックガーデンや鉢植えで間近に楽しむのに向いています。
紫、黄色、白、そして縞模様。これらの色を単色でまとめて「色の塊」を作ることで、遠目からも春の訪れを鮮やかに演出することができます。失敗しないための「花後の管理」
クロッカスを毎年美しく咲かせるためのポイントは、実は「花が咲き終わった後」にあります。 花が終わると、つい葉を整理したくなりますが、そこはぐっと我慢が必要です。 葉が緑色のうちは、太陽の光を浴びて球根に栄養を蓄えている大切な期間です。 葉が自然に黄色くなって枯れるまでそのままにしておくことが、翌年も立派な花を咲かせるための唯一の秘訣です。室内で楽しむ「水栽培」のすすめ
土植えだけでなく、専用の容器や浅い皿にハイドロボールを敷いて、水栽培で楽しむこともできます。
暖かな窓辺に置けば、戸外よりも一足早くその可憐な姿を愛でることが可能です。 根が伸び、蕾が膨らんでいく過程を、ぜひデスクの上やリビングで観察してみてください。クロッカスは「植えっぱなし」で大丈夫? 長く維持するためのコツ
クロッカスについてよくいただく質問に、「一度植えたら、そのままずっと咲き続けますか?」というものがあります。
結論から申し上げますと、**「種類による」**というのが実情です。ダッチ・クロッカスが「消えやすい」理由
ホームセンターなどでよく見かける大輪の「ダッチ・クロッカス」は、華やかで美しい反面、日本の高温多湿な夏が少し苦手です。
また、分球(球根が増えること)の勢いが強く、土の中で球根が密集しすぎてしまい、一つひとつが小さくなって花が咲かなくなる「痩せ細り」が起こりやすいのです。 数年経って「葉ばかりで花が咲かなくなった」と感じるのは、この密度過多が主な原因です。3年に一度の「掘り上げ」が更新の鍵
ダッチ・クロッカスを何年も元気に咲かせたい場合は、**「3年に一度の掘り上げ」**をおすすめします。
時期: 葉が完全に黄色く枯れた5月-6月頃。方法: 球根を掘り上げ、古い親球を取り除き、新しくできた子球を離してあげます。
保管: 秋の植え付け時まで、風通しの良い日陰で乾燥させて保管します。 この「更新作業」を行うことで、球根がリフレッシュされ、翌年以降もまた大きな花を咲かせてくれます。
本当の意味で「植えっぱなし」にしたいなら
もし、手入れを最小限にして毎年咲かせたいのであれば、**「原種系クロッカス」**を選ぶのが一つの手です。
シーベリ(C. sieberi)、クリサンスス(C. chrysanthus)などの原種系は、ダッチ種に比べて性質が強健で、日本の気候にも馴染みやすく、数年間放置していても自然に増えて群生してくれる傾向があります。まとめ:庭のスタイルに合わせた選択を
「数年おきに手をかけて、豪華な大輪を楽しむ」のがダッチ・クロッカス、「自然な風景の一部として、長く付き合う」のが原種系クロッカス。
ご自身の庭のスタイルに合わせて、この2つを使い分けてみるのも、園芸の知的な楽しみ方の一つと言えるのではないでしょうか。|
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| メールマガジン「お花大好き!」 第1128号 | |
| 発行日 | 2026年(令和8年) 2月12日 |
| 発行者 | ガーデニングの裏技 |
| 発行人 | 並木順子 |
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