英国の庭のもう一人の主役――デルフィニウム

2026年




メールマガジン「お花大好き!」
第1134号 2026年4月23日


英国の庭のもう一人の主役――デルフィニウム

ジギタリスと並んで、英国の庭の「背景」を支えるもう一人の主役が、デルフィニウム(Delphinium)です。

キンポウゲ科のこの植物は、深く澄んだ青色の花穂を2メートル近くまで立ち上げることができ、「空の一部を切り取って庭に立てたような」と形容されるほどの美しさを誇ります。

クレマチスと同じキンポウゲ科ですから、系統としては親戚にあたります。そして、クレマチスと同じく、有機質に富んだ水はけのよい土を好む点でも、バラとの相性が非常によい植物です。

デルフィニウムの魅力

デルフィニウムの最大の魅力は、何といっても「青の深さ」にあります。

青紫、コバルトブルー、スカイブルー、ロイヤルブルーと、バラにはほとんど存在しない澄んだ青色を、庭に持ち込める数少ない宿根草のひとつです。

英国のパシフィック・ジャイアント系(Pacific Giant)は草丈1.5から2メートルに達し、大輪の八重咲きの花を穂状に連ねます。

ブラック・ナイト、キング・アーサー、サマー・スカイ、アストラートなど、名前にも物語性を感じさせる古典的な品種群です。

バラのピンク・アプリコット・白との組み合わせは、「ピンク×ブルー・パープル」のパレットを、背景で仕上げる究極の素材といえます。ジギタリスの紫、デルフィニウムの青、バラのピンク――この三色が重なった5月下旬の英国の庭は、世界中のガーデナーが憧れる景色です。

日本で育てるときの注意点

ただし、デルフィニウムは日本の暑さを苦手とする植物の筆頭です。

原産地がヨーロッパ高地やアジアの冷涼地であるため、関東以南の平地では、本来の大型パシフィック系を宿根草として維持するのが難しく、多くの場合は秋まきの一年草、あるいは二年草として扱います。

長野県や北海道、標高の高い地域では宿根草として数年間楽しむことが可能です。

お住まいの地域によって付き合い方が変わる植物ですので、ご自身の庭環境を踏まえて品種を選んでください。

比較的暑さに耐える系統としては、シネンシス系(Delphinium grandiflorum、チャイニーズ・デルフィニウム)があります。

草丈30から80センチと小ぶりで、ブルーミラー系やサマーブルー系などの品種が、真夏の暑さを乗り越えて咲き続けてくれます。大型の迫力には及びませんが、日本の気候との相性では、こちらのほうが現実的です。

管理の基本

デルフィニウムは日当たりと水はけのよい、有機質に富む肥沃な土を好みます。バラの環境とほぼ同じと考えていただいて構いません。

植え付けは秋(10から11月)が基本で、関東以南では春までに十分根を張らせておくことが翌年の開花を左右します。

肥料は多めが好みで、元肥のほか、生育期には月1回程度、緩効性肥料を追肥します。

大型品種は草丈が2メートル近くに達しますので、必ず支柱を立ててください。風で茎が折れると、そこから株全体が傷みます。

梅雨時期は風通しが悪くならないよう、込み合った葉を整理します。

花後に花穂全体を切り戻してやると、秋にもう一度花が上がることがあります。

バラと合わせるときのコツ

バラとデルフィニウムを組み合わせる最大のコツは、「背景として使い、主役の座はバラに譲る」ことです。

デルフィニウムは一本だけで強い存在感を放ちますので、バラの前に立たせると花の主従が逆転してしまいます。

基本配置は、バラの後ろに3から5株を群植し、背景の壁やフェンスを隠すように立ち上げます。

花色はバラの色から遠い色(ピンクバラなら青、白バラなら青紫、赤バラなら青白の複色)を選ぶと、コントラストが効いて互いを引き立てます。

注意点――毒性

キンポウゲ科の植物の多くがそうであるように、デルフィニウムも全草に強い毒性を持っています。

アルカロイドを含み、お子さんやペットが口にすると危険です。ジギタリスと同じく、観賞用と割り切って、触れた後は手を洗う習慣を持っていただくと安心です。

切り花として楽しむ場合も、花瓶の水にも注意が必要です。

庭で眺める分には問題ありませんが、室内で切り花として使うときは、ペットの手の届かない場所に置いてください。

おわりに

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発行日2026年(令和8年) 4月23日
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発行人並木順子
  
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