この猛暑とゲリラ豪雨、庭で明暗が分かれた ― 咲き続ける花と、夏バテした花

2026年




メールマガジン「お花大好き」
第1152号 2026年7月30日


この猛暑とゲリラ豪雨、庭で明暗が分かれた ― 咲き続ける花と、夏バテした花

「南国生まれの花なら、この暑さでも平気だろう……」
「去年は元気だった花が、今年はどうも元気がない……」
「同じ種類を植えたのに、株によって咲き方がまるで違う……」

前号までは、水やりや留守番など猛暑を乗り切る「守り」の手立てを続けてお話ししてきました。今号は少し趣を変えて、実際にこの夏の庭を見渡してみます。連日の猛暑と、突然たたきつけるゲリラ豪雨。この過酷な組み合わせのなかで、涼しい顔で咲き続けている花と、すっかり音を上げた花とに、庭の中で驚くほどはっきり明暗が分かれました。その顔ぶれを眺めると、来年の花選びのヒントがいくつも見えてきます。

1.「南国風なら安心」は、半分あたって半分はずれ

南国を思わせる花なら暑さに強いはず、とつい考えます。ところが今年、ハイビスカスとブーゲンビリアはすっかり夏バテしてしまいました。じつはこの二つ、強い日ざしの土地の生まれではありますが、亜熱帯や乾燥した気候の育ち。ぎらつく日光には耐えても、日本の高温多湿と、豪雨のあとの蒸れは、どうやら苦手のようです。

対照的に元気いっぱいなのがマンデビラです。こちらは高温多湿の熱帯アメリカ生まれ。蒸し暑さこそ本領で、真夏に次々とつるを伸ばして咲いています。同じ「南国風」でも、原産地の“質”が違うと、真夏の強さはまるで別物。花を選ぶときは、見た目が南国っぽいかどうかより、高温多湿の熱帯の生まれかどうかを手がかりにすると、夏に強い花を選びやすくなります。

2.同じ花なのに、品種で天と地

さらに面白いのが、同じ種類でも品種によって明暗が分かれたことです。

たとえばニチニチソウ。「夏に強い花」の代表格ですが、今年わが家の庭では運命が分かれました。小輪のフェアリースター(サントリー)が株いっぱいに小花を咲かせて元気そのものなのに、大輪のニチニチソウのほうは枯れそうなのです。理由は花の大きさにありそうです。大きな花は花びらに雨がたまって溶けやすく、蒸れやすい。いっぽう小花は、豪雨をさらりとやり過ごし、傷んでもすぐ次のつぼみが上がってきます。

ペチュニアも同じでした。昔ながらの品種は、ゲリラ豪雨のひと降りで花がドロドロに溶けてしまいますが、雨に強い改良系――たとえばミヨシの「YES! ピンクスマイル」――は、豪雨のあともけろりとした顔で咲き続けています。

つまり、「ニチニチソウは強い」「ペチュニアは雨に弱い」と種類でひとくくりにするのは早すぎるということです。同じ花でも、小輪か大輪か、雨に強い改良系かどうかで、夏の運命はがらりと変わります。花選びは“名前”ではなく“品種”で、と心にとめておくと失敗が減ります。

3.この夏、咲き続けている顔ぶれ

いま実際に庭で元気なのは、マンデビラ、フェアリースター、YES! ピンクスマイル、そして朝顔です。朝顔は日本の夏の申し子で、暑さはむしろ得意。西日の照りつけと、鉢の乾きにだけ気をつければ、猛暑をものともしません。

顔ぶれに共通するのは、高温多湿の熱帯育ちであるか、あるいは雨と暑さをさらりとやり過ごす小回りのよさを持っていること。派手さより、この“しぶとさ”が、今年のような夏にはものを言います。

4.意外な伏兵たち

予想外に頑張っているのが、梅雨前に切り戻しておいたダイアンサス(ナデシコ)です。ナデシコは蒸し暑さがやや苦手ですが、梅雨に入る前にばっさり切って風通しをよくしておいた株が、すっきりした姿でまた咲き出しました。ひと手間の切り戻しが、はからずも夏の蒸れをかわす備えになっていたわけです。

もうひとつの驚きが、バラのミディローズ「佐賀錦」。猛暑が続くとバラは夏バテして花はお休みになりがちですが、こちらも花後の切り戻しのあと、今頃2番花が咲いています。品種のもつ底力を感じますよね。日陰では、木立性のツリーベゴニア 流れ星も、暑さ知らずに咲き続けています。

5.ひとつの謎 ― 百日紅が、まだ咲かない

不思議なこともあります。例年なら今ごろ真っ盛りのはずのサルスベリ(百日紅)が、今年はまだ咲かないのです。これだけ暑いのに、と首をかしげてしまいますが、思い当たるのは今年の梅雨。意外と涼しく、日照も少なめでした。

サルスベリは、その年に伸びた新しい枝の先に花をつける性質があります。梅雨どきの低温と日照不足で枝の伸びが鈍り、花芽の準備が遅れているのかもしれません。「暑ければ咲く」という単純な話でもないのが、植物の面白くも奥深いところです。

■まとめ

今年の庭が教えてくれたことを、来年の花選びのヒントとして5つにまとめます。

1.「南国風」より「高温多湿の熱帯生まれ」。マンデビラのような花が真夏に強い
2.ハイビスカス・ブーゲンビリアは亜熱帯・乾燥地の育ち。日本の蒸し暑さは案外苦手
3.同じ花でも品種で明暗。ニチニチソウは小輪、ペチュニアは雨に強い改良系を
4.梅雨前の切り戻しは、夏の蒸れをかわすよい備えになる
5.暑ければ咲くとはかぎらない。花には花のペースがある

猛暑もゲリラ豪雨も、庭の花たちがいちばん正直に教えてくれます。あなたの庭では、いま、どの花が咲き続けていますか。

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発行日2026年(令和8年) 7月30日
発行元ガーデニングの雑学
発行人中野純子
  
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