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温暖化時代の救世主、エキナセア 猛暑も乾燥も乗り越える、夏花壇の宿根草
「梅雨明けと同時に、花壇が一気に寂しくなる……」
「植えても植えても、夏の暑さで草花が次々ダウンしてしまう……」
「水やりに追われる毎日にうんざり……」
■夏花壇のジレンマと、エキナセアという答え
夏のガーデニングは、年々難しくなっています。
かつての夏花壇の主役だったペチュニアもサルビアも、35度を超える猛暑日が連続するとさすがに息切れします。宿根草のなかにも「日本の夏は越せても、地球温暖化の夏は越せない」ものが少なくありません。 そんななか、ヨーロッパのガーデンデザイン界では、ここ10年ほど「プレーリースタイル」が大きな流行になっています。北米中西部の大草原(プレーリー)の景観を模した、宿根草中心の自然な植栽。その中核を担うのが、本来あの厳しい大陸性気候を生きてきた草花たち――そして、エキナセアはまさにその代表選手なのです。 猛暑、乾燥、痩せ地、強風。それらすべてに耐えて、毎年同じ場所で堂々と咲き続ける。温暖化時代の庭に、これほど頼もしい宿根草はそうそうありません。■エキナセアとは何者か
学名は Echinacea(エキナセア)。キク科の多年草で、北米中部から東部の草原地帯が原産です。和名のムラサキバレンギクは、花の中心にある盛り上がった部分が「馬簾(ばれん)」のように見えることから付けられました。
ヨーロッパに渡ったのは18世紀。当初は「インディアンの薬草」として、免疫力を高めるハーブとして広まりました。今でもドイツなどでは風邪予防のサプリメントとして広く使われています。 ところが2000年代に入ると、アメリカやオランダの育種家たちが、観賞用としての品種改良を本格化させます。それまで紫一色だった花色に、オレンジ、ピンク、黄色、白、緑が加わり、八重咲きやコンパクトな品種も次々と登場。一気に園芸界の最前線へと躍り出たのです。■温暖化時代に選ばれる5つの理由
エキナセアが今、これほど注目される理由を整理してみましょう。
1.高温多湿に強い本来は乾燥地の植物ですが、改良を重ねた園芸品種は日本の梅雨も盛夏もしっかり乗り切ります。蒸れにはやや弱いものの、風通しさえ確保すれば心配ありません。 2.乾燥に強い
深く根を張る性質があり、いったん根付けば真夏でも水やりは控えめで済みます。旅行で数日家を空けても枯らさない安心感は、現代のガーデナーには大きな魅力です。 3.開花期がとにかく長い
6月下旬から咲き始め、花がら摘みを続ければ10月まで咲き続けます。一株で夏花壇のほぼ全期間を支えてくれる、稀有な宿根草です。 4.病害虫がきわめて少ない
バラのような繊細さとは無縁で、薬剤散布をほとんど必要としません。アブラムシすらあまり寄り付かないという声も多く、初心者にも安心です。 5.切り花・ドライフラワーにも向く
水揚げがよく、切り花として1週間以上もちます。花後の花芯はそのままドライフラワーやリースの素材にも。秋冬まで楽しめる、お得な宿根草なのです。
■進化した品種カタログ
「エキナセアって、紫色のあの花でしょう?」というイメージは、もう古い時代のものです。
クラシックな紫系
‘マグナス’は、エキナセアの定番中の定番。アメリカのオールアメリカセレクションズ(AAS)を受賞した名花で、明るい赤紫の花が花壇によく映えます。草丈80~100cmと存在感も十分。迷ったらまずこれ、という品種です。
暖色系の新品種
‘チータ’は鮮やかなオレンジ。‘ジュリア’はまろやかな山吹色。‘タンジェリンドリーム’は名前のとおりみかん色。従来のエキナセアのイメージを覆す、暖かい色合いです。バラと組み合わせると、思いがけないハーモニーが生まれます。
個性派
‘グリーンジュエル’は涼しげなライムグリーン。‘ホワイトスワン’は清楚な白。ナチュラルガーデンや白い花壇には欠かせない色合いです。
八重咲き
ダブルスクープ・シリーズは、ふんわりとボリュームのある八重咲き。「クランベリー」「オレンジ」「ラズベリー」など色のバリエーションも豊富で、まるでダリアのような豪華さです。
コンパクト品種
ソンブレロ・シリーズは草丈50~60cmと低めで、コンテナや花壇の前景にも使える優秀シリーズ。ベランダ派にもおすすめです。
■育て方の基本
植え付け適期
ベストシーズンは春(3~4月)と秋(9~10月)ですが、6月の今でもポット苗なら問題なく植え付けられます。むしろ開花株が手に入る時期なので、花色を確かめながら選べるメリットがあります。
ポットから抜いたら、根鉢を軽くほぐして植え付け、最初の2週間ほどはしっかり水やり。根付けばあとは放任で大丈夫です。用土と植え場所
水はけが何より大切。日当たりのよい場所を選び、粘土質の土なら腐葉土とパーライトをすき込んで改良しましょう。
鉢植えなら市販の草花用培養土に、軽石小粒を2割ほど混ぜると安心です。痩せ地でもよく育つ植物なので、肥料豊富な土にする必要はありません。水やりと肥料
植え付け後、根付くまでは普通の水やり。それ以降は控えめで構いません。むしろ過湿が一番の大敵です。鉢植えでも、表土がしっかり乾いてからの水やりを徹底してください。
肥料は元肥として緩効性化成肥料を少量。追肥はほぼ不要です。窒素過多になるとひょろひょろと徒長し、花付きも悪くなります。花がら摘みで開花期間を延ばす
咲き終わった花は、花茎の付け根から切り取ります。これを続けることで次々と脇から花芽が上がり、秋まで花を楽しめます。
ただし、ドライフラワー用や鳥のエサ用に、秋には花芯を残しておくのもおすすめ。冬の枯れ姿も意外と趣があり、霜が降りた朝は美しい光景になります。冬越し
寒さには非常に強く、北海道でも戸外で冬越し可能です。冬は地上部が完全に枯れますが、春には必ず勢いよく芽吹きます。心配して鉢を屋内に取り込む必要はありません。
■増やし方
エキナセアは株分けと実生で増やせます。
株分けは春か秋。3~4年経って株が大きくなったら、掘り上げて2~3株に分けます。古い中心部は処分し、外周の元気な部分を植え直すと若返ります。 実生もそれほど難しくありません。秋に採れた種を冷蔵庫で1か月ほど低温処理してから春に蒔くと、発芽率が上がります。実生株が開花するのは翌年から再来年。色や形が親株と違うことも多く、それも楽しみのひとつです。 こぼれ種からも自然に増えるので、好きな場所に芽が出たらラッキー。ナチュラルガーデンの醍醐味です。■バラの庭の脇役としても優秀
第1140号で「バラに合う植物」、第1142号でアガパンサスをご紹介しましたが、その流れでぜひエキナセアもバラ花壇に加えてみてください。
理由は明確です。エキナセアは草丈80~100cm、花期は6月下旬から10月までと長く、ちょうどバラの一番花が終わる時期から咲き始めます。バラの株元が寂しくなる夏場、エキナセアが花壇を支えてくれるのです。 色合わせも自由自在。ピンクのバラに紫のマグナス、白バラにホワイトスワン、アプリコットのバラにチータのオレンジ――どれも品格のある組み合わせです。 しかも病害虫がほぼないので、バラの消毒で巻き添えになる心配もありません。バラ栽培者にとって理想の宿根草、と言っても過言ではないでしょう。■まとめ
温暖化時代の夏花壇を、もう一度元気に咲かせるために。ポイントを4つにまとめます。
1.エキナセアは北米プレーリー原産の宿根草。暑さ・乾燥・痩せ地に強い2.近年の品種改良で色幅が劇的に拡大。バラとの相性も抜群
3.植えっぱなしで毎年咲き、病害虫もほぼなし。省力ガーデニングの主役
4.6月の今は開花株が手に入る好機。花色を確かめて選べる これまで夏の花壇でつまずいてきた方こそ、ぜひ一株、お試しください。「植えっぱなしで毎年咲く」という宿根草本来の喜びを、エキナセアはきっと思い出させてくれるはずです。 猛暑のなかでも凛と咲き続ける姿は、ガーデナー自身の励みにもなります。今週末あたり、近くの園芸店をのぞいてみてはいかがでしょうか。
新刊案内
書名:バラに合う植物–一年中美しい庭をつくる、脇役の設計図
著者:並木順子
フォーマット:Kindle電子書籍
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| メールマガジン「お花大好き!」 第1145号 | |
| 発行日 | 2026年(令和8年) 6月11日 |
| 発行元 | ガーデニングの裏技 |
| 発行人 | 並木順子 |
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