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今度は、早く買ってください ― 秋植え球根は「買い時」と「植え時」が1か月ずれます
「チューリップの球根は、いつ植えればよいのでしょうか……」
「去年の春、咲いた花が思ったより小さくて驚きました……」
「11月に買いに行ったら、欲しい品種はもう残っていませんでした……」
1.10月上旬が、いちばん良い球根を選べる時期です
球根を「植える日に買いに行くもの」と考えていると、毎年いちばん悪い球根を買うことになります。理由は三つあります。
品揃えが、いま最高です。秋植え球根は、その年に掘り上げられたものが9月から10月に一度に店へ出ます。追加入荷はほとんどありません。人気の品種、八重咲き、フリンジ咲き、珍しい色は、10月のうちに姿を消します。11月の棚に残っているのは、売れ残った品種です。球根は、生きています。球根は花を咲かせる栄養と、すでに出来上がった花の芽を抱えた貯蔵器官です。店に置かれているあいだ、少しずつ水分が抜けていきます。11月下旬の店内は暖房が入り、乾燥も進みます。同じ値段でも、中身が違うのです。
選ぶ時間が要ります。良い球根を選ぶには、袋の中を見比べる手間がかかります。植える当日に慌てて買うと、その手間を省いてしまいます。 つまり「買うのは早く、植えるのは遅く」。これが秋植え球根の正しい順番です。
2.良い球根の見分け方 ― 重さと固さで決まります
売り場での見どころは、次のとおりです。手に取れる形で売られていれば、必ず触って選んでください。
ずっしりと重い。同じ大きさなら、重いほうが中身が詰まっています。軽いものは乾いて中がやせています。固い。指で軽く押してへこむもの、ぶよぶよするもの、ぐにゃりとするものは、すでに傷み始めています。
白いカビや青いカビがない。とくに球根の底、根が出る円い部分(基部)を見てください。ここが黒ずんでいたり、カビが回っているものは、植えても根が出ません。
芽と根が動いていない。すでに芽が伸び、白い根が出ているものは、袋の中で蒸れていた証拠です。
大きさをそろえる。チューリップは球根が大きいほど花も大きくなります。花壇用なら、表示のある商品では球周12センチ以上を選んでください。表示がなければ、袋の中でいちばん大きい粒を基準に見ます。
安い詰め合わせ袋には、小球が混ざります。「50球入り」の格安ネットは、小さい球根が数でかさ上げされていることがあります。小球は、その年は咲かないか、咲いても花が小さいです。数より粒です。 なお、茶色い皮が少し剥けているのは気にしなくてよいです。皮が破れているところから根が出やすくなります。避けるべきは、皮ではなく中身の傷みです。
3.買ってから植えるまでの、1か月の置き方
ここで失敗する方が、とても多いところです。せっかく良い球根を選んでも、1か月の置き方で台無しになります。
買ったら、すぐ袋から出す。ビニール袋に入れたまま部屋に置くのが、いちばんいけません。袋の中で湿気がこもり、カビが回って腐ります。紙袋か、目の粗いネット、古いストッキング、浅い箱などに移してください。風通しのよい、涼しい日陰に置く。玄関、北側の廊下、暖房の入らない物置、階段下。直射日光と暖房のある部屋は避けます。
冷蔵庫に入れる必要はありません。秋植え球根は、庭の土の中で冬の寒さに当たる仕組みになっています。家庭で低温処理をする必要はありません。とくに果物と同じ場所に置かないこと。リンゴなどが出すガスで、球根の中の花の芽が傷むことがあります。
品種名を書いておく。袋から出すと、どれがどの品種か分からなくなります。移した袋に油性ペンで品種名と色を書いておくと、植えるときに配色を考えられます。 例外が二つあります。ユリとスイセンは、乾燥に弱い球根です。とくにユリは皮がなく、うろこ状の粒が重なった構造で、乾くとそのまま弱ります。ユリの球根は、買ったその週に植えてください。スイセンも、10月のうちに植えてしまってかまいません。「植え時を待つ」のは、おもにチューリップの話です。
4.植え時は、土が冷えてから
目安は日付ではなく、土の温度が15度を下回ったころです。地面に手を当てて、ひやりとするようになってからで十分です。
チューリップ 寒冷地は10月上旬から中旬、温暖地(関東から関西の平地)は10月下旬から11月中旬、暖地(九州・四国の平地)は11月中旬から12月上旬まで待てます。スイセン・ヒヤシンス・クロッカス・アリウム チューリップより早めでよく、10月中に植えられます。スイセンは根が出るのが早いので、遅らせる利点がありません。
ムスカリ 秋のうちに葉が伸びる性質があります。春に葉がだらしなく伸びた姿が気になる方は、11月に入ってから植えると葉が短く収まります。
ユリ 時期を選ばず、買ったらすぐ。 早植えをすると、何が起きるか。地温が高いうちに植えると、根が十分に出る前に球根が水を吸い、灰色かび病や腐敗が出ます。また、秋のうちに芽と葉が伸びてしまい、真冬の霜と寒風で傷みます。春に咲くための力を、秋に使ってしまうのです。パンジー・ビオラとは事情が違いますが、「暑いうちに動かすと失敗する」という点だけは同じです。
5.植え方 ― 深さと株間、そして二階建て
地植えは、深く植える。球根の高さの2個から3個分の土をかぶせます。チューリップとスイセンで10センチから15センチ、クロッカスとムスカリは3センチから5センチ。深植えのほうが茎が倒れにくく、夏の高温からも守られて、翌年も残りやすくなります。
鉢は、浅めでよい。鉢の中は土が少ないので、球根1個分(3センチから5センチ)の土がかぶれば足ります。そのぶん鉢の深さを根のために使ってください。浅い鉢よりも、深めの鉢を選びます。
株間。チューリップの地植えは10センチから15センチ。鉢植えは詰めて植えてよいのですが、球根同士を触れさせないこと。ひとつが腐ると隣へ移ります。
元肥は緩効性肥料を、球根に触れないように。土に混ぜてから植えるか、球根より下の層に入れます。直接当たると傷みます。
同じ場所に、毎年植えない。連作すると病気が出ます。鉢は必ず新しい土に替えてください。前年のチューリップの土を使い回すのは、失敗のもとです。
植えたら、たっぷり水をやる。そして芽が出るまでのあいだも、土を完全に乾かさないでください。地上には何も見えませんが、地中では根が伸びています。
■まとめ
秋植え球根、要点をまとめます。
1.買うのは10月上旬。品揃えも球根の鮮度も、いまが最高
2.重くて固い球根を選ぶ。大きさをそろえる。格安の数売りには小球が混ざる
3.買ったらビニール袋から出し、風通しのよい涼しい日陰へ。冷蔵庫は不要
4.植えるのは土が15度を下回ってから。温暖地は10月下旬から11月中旬
5.ユリとスイセンだけは例外。乾く前に、早く植える
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| メールマガジン「お花大好き」 第1161号 | |
| 発行日 | 2026年(令和8年) 10月1日 |
| 発行元 | ガーデニングの裏技 |
| 発行人 | 並木順子 |
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