風に舞う白い蝶、ガウラ バラの足元を初夏から晩秋まで彩る宿根草

2026年




メールマガジン「お花大好き!」
第1146号 2026年6月18日


風に舞う白い蝶、ガウラ バラの足元を初夏から晩秋まで彩る宿根草

「バラの一番花が終わって、株元がなんだか寂しい……」
「夏花壇に、軽やかで涼しげな動きがほしい……」
「猛暑でも水やりに追われず、長く咲いてくれる花はないだろうか……」

梅雨の晴れ間、庭を眺めながらそんなふうに感じている方に、ぜひおすすめしたい宿根草があります。ガウラ。和名をハクチョウソウ(白蝶草)といい、その名のとおり、細い茎の先で白い蝶がいっせいに羽を休めているような花姿が魅力です。

前号でご紹介したエキナセアと同じく、北米生まれのタフな宿根草。暑さにも乾燥にも負けず、初夏から晩秋まで途切れなく咲き続けます。今回は、このガウラの魅力と、6月の今こそ植えたい育て方を、たっぷりご紹介します。

■夏のバラ花壇に「軽やかさ」を

バラの庭づくりでよく聞かれる悩みが、「夏場の株元の寂しさ」です。

春に華やかに咲いたバラも、一番花が終わると花数がぐっと減り、足元の土がむき出しになりがち。かといって、ボリュームのある草花を植えると、今度は重たく暑苦しい印象になってしまいます。

そこで活きるのが、ガウラのような「軽やかな脇役」です。細い花茎が風に揺れ、小さな花がふわふわと舞う姿は、見ているだけで涼を感じさせます。バラという主役を引き立てながら、夏の花壇に動きと抜け感を与えてくれる――まさに理想の名脇役なのです。

■ガウラとは何者か

学名は Gaura lindheimeri(ガウラ・リンドハイメリ)。近年の分類見直しで、現在はマツヨイグサ属(Oenothera)に統合されましたが、園芸の世界では今も「ガウラ」の名で親しまれています。アカバナ科の宿根草で、北米テキサスからメキシコにかけての乾いた草原が原産です。

和名のハクチョウソウは「白鳥草」ではなく「白蝶草」。白い花が蝶の群れのように見えることに由来します。「ヤマモモソウ」と呼ばれることもあります。

原産地が乾燥した大地であることからもわかるように、もともと暑さと乾燥にめっぽう強い植物です。エキナセアと同じく、温暖化で年々厳しくなる日本の夏を、たくましく乗り切ってくれる頼もしい存在といえます。

■夏の庭に選ばれる5つの理由

ガウラがこれほど多くのガーデナーに愛される理由を、整理してみましょう。

1.とにかく花期が長い
5月下旬から咲き始め、夏を越えて11月の霜が降りるころまで咲き続けます。これほど長く花を楽しめる宿根草は、そう多くありません。

2.暑さ・乾燥に強い
深く根を張る性質があり、いったん根付けば真夏でも水やりは控えめで大丈夫。痩せ地でもよく育ち、手のかからなさは抜群です。

3.風に揺れる軽やかな姿
細い花茎の先に小花がつき、わずかな風にも揺れて踊ります。この涼しげな動きこそ、ほかの草花にはないガウラ最大の個性です。

4.病害虫がきわめて少ない
バラのような繊細さとは無縁で、薬剤散布をほとんど必要としません。バラの消毒の巻き添えを気にせず足元に植えられるのも大きな利点です。

5.どんな花とも喧嘩しない
主張しすぎない花姿なので、バラはもちろん、宿根草やグラス類とも自在に組み合わせられます。寄せ植えの「つなぎ役」としても重宝します。

■進化した品種カタログ

「ガウラといえば白い花」というイメージは、もう少し古いかもしれません。近年は花色も草姿も、ぐっとバリエーションが広がっています。

定番の白

‘ホイットリングバタフライズ’は、純白の花が次々と咲く定番品種。「くるくる舞う蝶」という名のとおり、群れて咲く姿はこの花の真骨頂です。ホワイトガーデンには欠かせません。

愛らしいピンク系

‘シスキューピンク’は濃いめのローズピンク。‘ロージージェーン’は、白地に紅の覆輪が入る上品な複色で、咲き進むほどに色が変化します。ピンクのバラとあわせると、やわらかなグラデーションが生まれます。

シックな銅葉系

‘クリムゾンバタフライ’‘クラウンレッド’は、葉が赤銅色に色づくカラーリーフ品種。花のない時期も葉色で花壇を引き締めてくれます。アプリコットや黄色のバラの足元に置くと、ぐっと大人っぽい雰囲気に。

コンパクト品種

ガウラは草丈1mを超えて大株になることもありますが、‘ベローザ’シリーズ‘ベルレリ’などは草丈40~60cmと低くまとまり、コンテナや花壇の前景にも使えます。倒れにくく、ベランダ派にもおすすめです。

■育て方の基本

植え付け適期

ベストシーズンは春(3~4月)と秋(9~10月)ですが、6月の今でもポット苗なら問題なく植え付けられます。むしろ開花株が出回る時期なので、花色や姿を確かめながら選べるのが利点です。

ポットから抜いたら、根鉢を軽くほぐして植え付け、最初の2週間ほどはしっかり水やり。根付けばあとはほとんど放任で大丈夫です。

用土と植え場所

何より大切なのは水はけと日当たりです。じめじめした半日陰よりも、一日中よく日の当たる乾いた場所を好みます。粘土質の土なら、腐葉土とパーライトをすき込んで改良しましょう。

鉢植えなら市販の草花用培養土に、軽石小粒を2割ほど混ぜると安心です。痩せ地でもよく育つので、肥料豊富な土にする必要はありません。

水やりと肥料

植え付け後、根付くまでは普通に水やりを。それ以降は控えめで構いません。むしろ過湿が一番の大敵で、水のやりすぎは根腐れや徒長を招きます。鉢植えでも、表土がしっかり乾いてからの水やりを徹底してください。

肥料は元肥として緩効性化成肥料を少量で十分。追肥はほぼ不要です。窒素分が多すぎると茎ばかり伸びて軟弱になり、倒れやすくなります。

切り戻しで秋にもう一度

ガウラ栽培の最大のコツが、夏の切り戻しです。花が一段落して株が間延びしてきたら、思い切って全体を半分ほどの高さに刈り込みましょう。

こうすると蒸れも防げ、株がコンパクトに整い、秋にはふたたび勢いよく花を咲かせます。咲き終わった花穂をこまめに切るだけでも、開花は長く続きます。

冬越し

寒さには強く、関東以西なら戸外で問題なく冬を越します。冬は地上部が枯れますが、春には株元から新芽が吹いてきます。寒冷地では株元を腐葉土などで軽くマルチングしておくと安心です。

■増やし方

ガウラは挿し芽、株分け、こぼれ種で増やせます。

挿し芽は初夏から夏が適期。花のついていない若い茎を10cmほど切り、下葉を取って清潔な用土に挿せば、比較的かんたんに根が出ます。

株分けは春か秋。ただしガウラは太い直根を張るため、大株を無理に分けると傷みやすいので注意が必要です。若い株のうちに分けるのがコツです。

こぼれ種でも自然に増えます。気に入った場所に芽が出たらラッキー。ナチュラルガーデンらしい、嬉しいおまけです。

■バラの庭の脇役としても優秀

第1140号で「バラに合う植物」、第1142号でアガパンサス、前号でエキナセアをご紹介しました。その流れで、ぜひガウラもバラ花壇に加えてみてください。

理由は明確です。ガウラの花期は5月下旬から11月までと長く、ちょうどバラの一番花が終わるころから本格的に咲き始めます。バラの株元が寂しくなる夏場、ふわふわと舞う白やピンクの小花が、花壇に軽やかな彩りを添えてくれるのです。

背の高い品種はバラの中景に、コンパクト品種は前景にと、草丈で使い分けられるのも便利。色合わせも自由自在で、白バラには純白のホイットリングバタフライズ、ピンクのバラにはシスキューピンク、アプリコットのバラには銅葉のクリムゾンバタフライ――どれも品よくまとまります。

しかも病害虫がほぼないので、バラの消毒で巻き添えになる心配もありません。エキナセアと並ぶ、バラ栽培者にとって理想の名脇役といえるでしょう。

■まとめ

風に舞う白い蝶、ガウラ。その魅力をあらためて4つにまとめます。

1.ガウラ(ハクチョウソウ)は北米原産の宿根草。暑さ・乾燥・痩せ地に強い
2.5月下旬から11月まで、風に揺れる小花が途切れなく咲き続ける
3.病害虫がほぼなく、夏の切り戻しで秋にもう一度楽しめる
4.軽やかな花姿はバラの足元にぴったり。6月の今は開花株が選べる好機

夏のバラ花壇に「抜け感」と「動き」を加えたい方にこそ、ぜひ一株お試しいただきたい花です。風にそよぐ白い蝶たちが、これからの暑い季節、庭にひとときの涼を運んでくれるはずです。

今週末あたり、近くの園芸店で開花株を探してみてはいかがでしょうか。

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書名:バラに合う植物–一年中美しい庭をつくる、脇役の設計図
著者:並木順子
フォーマット:Kindle電子書籍

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発行日2026年(令和8年) 6月18日
発行元ガーデニングの裏技
発行人並木順子
  
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